ハーブのご紹介


女性のためのハーブ

ブラックコホシュ

ブラックコホシュとはどういう植物?

フィトエストロゲンを含む植物で、われわれ日本人にとっては、とても身近な例として前回は「大豆イソフラボン」を紹介いたしました。
今回は、アメリカ先住民のインディアンが古くから愛用し、今ではアメリカやヨーロッパをはじめ、多くの国々で研究、商品化されているブラックコホシュについて、ご紹介したいと思います。

ブラックコホシュ(和名:アメリカショウマ)は、北アメリカ東部原産、湿潤な日陰の森林に約150 cmくらいの高さに育ち、白く美しい花を咲かせるサラシナショウマ属キンポウゲ科のハーブの一種です。名前についている「ブラック」から、なんだか「漆黒」のダークサイドに陥りそうな暗いイメージがしますが、その由来は根元を掘ると小さな黒蛇のように曲がった黒い根茎が出てくるためです。ハーブやサプリで用いるときは、この根に含まれる成分を用います。
味に苦みを感じる場合もあることからハーブチンキやサプリなどの形で摂取します。

ブラックコホシュはどのような効果が?

ブラックコホシュは、主として更年期障害に伴う症状の改善や月経前緊張症、月経不順の改善などに利用されます。
ヨーロッパでは、ここ40年以上生理痛や月経前症候群、更年期障害にブラックコホシュが用いられており、近頃、米国でも見直されています。ホルモン補充療法受けられない、受けたくない女性の中には、このブラックコホシュを症状改善のケアに積極的に取り入れる人もいます。
ブラックコホシュをフィトエストロゲンの成分を含む植物としてここに紹介していますが、最近の研究では、エストロゲン様物質は存在しないという結果も出ており、作用メカニズムは、明らかではないのが実情です。
科学的根拠は、これまでに10のうち9つの臨床試験(合計1371人が対象)において、更年期障害の改善が報告されており、 たとえば、2002年に報告された臨床試験では、149人の更年期あるいは閉経後の女性を対象に、12~24週間、39mgあるいは127.3mgのブラックコホシュを投与したところ、更年期障害の症状が改善された。このとき、膣の組織に対してエストロゲン様効果も認められたとされています。
詳しくは、DHCの健康食品の紹介に記載されている文章の中からこちらのページが、わかりやすく専門的知見からの解説されていますので、ぜひご覧ください。

ブラックコホシュはどのように利用されている?

ブラックコホシュは、秋に実がなったあとで収穫した根と根茎を、乾燥させて利用します。ハーブティーとして飲用するときには、小さじ1/2程度のブラックコホシュのハーブに対して、カップ1杯の水に10~15分ほど煎じたあと、こしてから飲みます。
ただし味に苦味があることからハーブティーではなく、ハーブチンキやサプリなどの形で摂取するのが通例です。

ブラックコホシュは、1995年に出された研究結果ではセントジョーンズワートと組み合わせた場合ほてりや他の更年期障害の治療に78%もの効果があったと記されています。
なので、ブラックコホシュをハーブチンキで摂取する場合、2~4 mℓ程度をセントジョンズワートーのハーブティーに加えて、飲用することをお勧めします。詳細は「わかさの秘密」さんのこちらのページもご参照ください。研究成果が非常に体系的にまとめられています。ただし、ブラックコホシュはエストロゲン作用を持っていることの記述がありますが、最近の研究から、明らかでないことは前述のとおりです。

更年期対策のハーブチンキとしては、「ブラックコホシュ」と共に「シャタバリ」「チェストツリー」などを混ぜ合わせてチンキを作成することもできます。これらについては、また日を改めて、ご紹介したいと思います。

なお、ブラックコホシュをバストアップ(豊胸)対策のために用いることを勧めているページもありますが、ブラックコホシュはエストロゲンの作用がそれほど大きくないため効果は疑問です。
バストアップ(豊胸)のためにハーブを用いるためには、「プエラリア」などのような強いエストロゲン作用を持つハーブが必要です。「プエラリア」は作用があまりにも強く、副作用などの懸念も指摘されていることから「美容や健康の維持管理」を目的とする「ハーブ」の役割から大きく逸脱しており、あまりお勧めしません。こちらのハーブについては次回ご紹介したいと思います。

安全性について

ブラックコホシュは、メディカルハーブの安全性では「妊娠中に使用しない」「授乳期間中に使用しない」こととされています。特にご留意ください。

その他は一般に、ブラックコホシュによって特に問題となる健康被害や副作用は知られていません。 しかしながらブラックコホシュの摂取により、胃部不快感や頭痛といった症状が現れることがあり、万一これらの症状がみられたら摂取を見合わせてください。(婦人科系疾患の)医薬品(たとえばホルモン剤や抗ガン剤)を服用している場合には、摂取する前に先に、医師に相談してください。

日本国内でブラックコホシュ又はこれを含む食品を摂取したことによる健康被害事例はこれまで報告されていませんが、海外においてブラックコホシュの利用が原因とみられる肝障害について報告されたことから、厚生労働省より以下の告知がなされていますは念のためご注意下さい。

海外におけるブラックコホシュの利用に関する注意喚起について
海外におけるブラックコホシュの利用が疑われた肝障害の報告

こちらの記載にもあるとおり、効果(更年期障害の諸症状を緩和)が期待できるまでには最低4週間程度の摂取が必要です。
しかしながら長期の使用は不可とされており、使用の上限は6ヶ月程度とされています。この点十分にご留意の上、お召し上がりください。