ハーブのご紹介


女性のためのハーブ

フィトエストロゲンについて

フィトエストロゲンとは何?

女性のために特別に働くハーブをご紹介するために前回まで「女性ホルモン」のお話とそれにまつわる「更年期障害」につぃてお話しさせていただきました。
ここからが当ホームページの真骨頂である「ハーブ」の出番です。途中わからなくなったらいつでも戻って参照してみてくださいね。


フィトエストロゲン(植物性卵胞ホルモン様物質)とは、内分泌系により女性の卵巣から出たホルモンではなく、ハーブなどのようなフィトエストロゲン植物を摂取したことによる外因性の物質が、内分泌されたエストロゲン(女性ホルモン)のように機能することです。

右の図はウィキペディアからお借りした化学構造式です。
右の化学構造を見てみると図の一番下が動物のエストロゲン(エストラジオール(17-β-estradiol))で、上段と中段が植物から採取されたフィトエストロゲンで、非常に構造が類似していることがわかります。このために、エストロゲンあるいは非エストロゲンの様な効果をもたらすことができると言われています。


では、なぜ植物は進化の過程でこのような物質を自分の体内で産生するようになったのでしょうか。
さきほどのウィキペディアによれば「草食動物」の過剰な繁殖により、植物が食べつくされる危険から身を守るため、動物の雄の妊性をコントロールするために生成されるようになったと記述されています。本当に植物の力はすごいですよね。


フィトエストロゲンを含む植物とは

大豆イソフラボンや植物リグナンなどがよく知られており、CMなどでよく耳にするのではないでしょうか。
大豆イソフラボンは、大豆製品に含まれ、植物リグナンは、亜麻仁油、ゴマ、ケール、ブロッコリーなどの様々な食べ物に含まれています。
大豆イソフラボンは、弱いエストロゲン作用から更年期障害や2型糖尿病の改善に効果があるといわれています。

それとは逆に、非常に強いエストロゲン作用を持つ、植物もあります。
プエラリア(Pueraria mirifica)と呼ばれる植物で、根茎に含まれるミロエステロールやデオキシミロエステロールは、イソフラボンより作用が非常に強く、女性のバストアップ(豊胸)などのサプリメントとして販売されてますが、その強い効果に副作用の懸念も指摘されています。これについては、このシリーズの最後にもう一度振り返りたいと思います。

作用の強弱の点では、大豆イソフラボンとプエラリアの中間くらいに位置するのがブラックコホシュという、植物ではないでしょうか。
ブラックコホシュは、北アメリカが原産の白く美しい花を咲かせるハーブの一種で、 ハーブには黒い根茎の部位が使用され、味に苦みを感じる場合もあります。ブラックコホシュは、女性特有の月経前症候群や更年期障害などに効果があります。
こちらのハーブも、もう一度振り返りたいと思います。

フィトエストロゲンを摂取するとどのような効果が?

エストロゲンが作用を発揮するためには、体の細胞に受容体と呼ばれる器官がなければなりません。つまりエストロゲンが「鍵」、受容体が専用の「鍵穴」になっていて、この鍵穴(受容体)に決められた鍵(エストロゲン)が差し込まれること によって細胞は初めて命令通りに行動を起こし作用がでます。
植物性エストロゲンは、女性の卵巣からできるエストロゲン、いわば動物性エストロゲン似た構造をもつために、女性の体の細胞にある鍵穴に差し込んでいけるのでエストロゲンの作用がでるのです。これは試験管内実験、動物実験、疫学的考察などにより、広く確認されています。

エストロゲンが不足している状態では本来のエストロゲンに代わって植物性エストがその鍵穴(受容体)に結合して不足分を補う方向に働きますから、エストロゲンの作用がそのまま出ます。
つまり、更年期障害や骨粗しょう症に対する改善効果、乳ガンの予防、動脈硬化の予防、骨密度低下の抑制、尿疾禁、アルツハイマー病の予防等にも期待できる効果が認められています。

逆に、エストロゲンが過剰な状態(たとえばエストロゲンが大量に分泌される排卵直前の状態)では、植物性エストロゲンは通常では本来のエストロゲンより薬理活性は弱いので、過剰に分泌された本来のエストロゲンと競合して受容体に結合しよ うとすることによって最終的なエストロゲン作用を弱める事が考えられています。
つまり普通に月経がある人が大量に摂り過ぎると、逆に月経異常が起こり得るということになります。

過剰な摂収は逆効果

自然界に存在するホルモン作用物質なので、副作用はないとされていますが、全ての人に対して100%副作用がないとは言い切れません。エストロゲンの強い効果を示すプエラリアにつぃては副作用の懸念、ブラックコホシュにつぃては海外での症例など、メディカルハーブの安全性についての告知をよく読まれたうえで、召し上がってください。

また植物性エストロゲンは合成ホルモン剤ではないので、発癌性作用はなく、女性ホルモン剤のエストロゲンと違って、乳癌や子宮内膜癌の危険性もありません。
また、前述のように、正常に月経のある女性が大量に摂りすぎるとかえって月経異常(月経不順、無排卵など)が起こる可能性がないとはいえません。結局、食品はバランスよく摂取することが大事です。