ハーブのご紹介


女性のためのハーブ

イソフラボンにつぃて

イソフラボン類を含有しているマメ科(Fabaceae)の植物

前回はフィトエストロゲンについて若干アカデミックな話をさせていただきました。これまでちょっと堅苦しい話が続きましたが、ここからは、これまでご紹介したフィトエストロゲンを含むハーブについて個別に、その概要をお話ししたいと思います。

まずCMなどで、もっともよく知られている大豆などマメ科の植物に含まれている「イソフラボン」について、お話をしたいと思います。マメ科の植物は海外の食事とは異なり、われわれ日本人にとっては食事の中で普通に摂取されています。サラダなどで直接摂取することもあれば、豆腐や豆乳の形で、あるいは発酵して味噌や醤油、納豆などの形で普通に摂取されています。また最近では、お菓子などの形で摂取されることもあります。またサプリなどもたくさん市場に出ているようです。

イソフラボンは女性ホルモンであるエストロゲンと構造が似ているため更年期障害を緩和する効果が期待されています。また、髪の成長を促すたんぱく質を増やす作用もあることから、育毛などにも期待されています。
ただし過剰な摂取はフィトエストゲンのページでもお話しした通り、かえって逆効果となりますので気を付けないといけません。このページの最後に詳しく述べていますので、ご覧ください。

グリコシド型とアグリコン型イソフラボンとは何

大豆などに含まれるイソフラボンには2種類の型が存在します。
1つは糖と結合したグリコシド型(配糖体)。もう一つは糖と結合しておらず単独で存在するアグリコン型。両者の違いは吸収効率です。

もともと食品中に含まれる大豆イソフラボンの多くは糖が結合した状態で存在します。この状態の事をイソフラボン配糖体と呼びます。
糖と結合したグリコシド型(配糖体)のイソフラボンは、まずヒトの腸内細菌によって分解されアグリコン型になり、その後に吸収されるという過程があります。
アグリコン型のイソフラボンで摂取すると、グリコシド型(配糖体)のように腸内環境に左右されないため、吸収速度や吸収量の点で優れていると考えられています。
一方、グリコシド型(配糖体)は糖が分解されながらゆっくり吸収されていくため、体内に存在する時間はアグリコン型より長くなります。

アグリコン型イソフラボンとしてそのまま存在している量が多いのは発酵食品である味噌や醤油、納豆といわれます。他の食品は基本的にグリコシド型として存在しています。

ちなみに体に吸収される際はアグリコン型となるため食品に含まれるイソフラボン量の目安や安全基準はアグリコン型の量で判断しています。
グリコシド型をアグリコン型に換算するには大豆イソフラボンの中で最もエストロゲン活性が強いゲニステインの換算値(0.625)を用います。計算式は、

グリコシド型イソフラボン量 × 0.625

グリコシドが100mgだとしたらアグリコンは62.5mgになります。

また、東京農業大学上原助教授の研究によれば、これらイソフラボンとともに『クラフトオリゴ糖』を摂取することにより、分解のお手伝いをしてくれるとの研究結果があるとのこと。
クラフトオリゴ糖は、腸内を善玉菌優位の環境に保つ効果があるため、結果としてフィトエストロゲンの分解を促すとのこと。(情報はこちら)こちらの確認は、まだとれていません。

安全性について

イソフラボンの過剰な摂取が逆効果になることは前述したとおりです。
ちなみに1日の最大の摂取量の限度は70mg ~ 75mg と言われています。
それ以上の摂取は、過剰摂取となります。

たとえば、100グラムの豆腐を食べると1日に合計24 mgのイソフラボンをとることになるとされています。最適な量の目安は、1日に豆腐なら150g(半丁)、きな粉なら20g、納豆なら1パック60gです。豆腐1丁でエストロゲンとして最大0.05mg(ピル1錠分に相当)の効力が期待できるようですが、実際にはその10分の1以下とされています。

正常に月経のある人が、過剰に植物性のエストロゲンを摂取しようとすると、植物性エストロゲン自体は、通常本来のエストロゲンより薬理活性は弱いので、過剰に分泌された本来のエストロゲンと競合して受容体に結合しよ うとすることによって最終的なエストロゲン作用を弱める事が考えられています。
つまり普通に月経がある人が大量に摂り過ぎると、逆に月経異常が起こり得るということになります。例えば、月経周期が変動したりします。

閉経前の日本人女性に通常の食事で
大豆イソフラボン29.5mgに加え
豆乳400ml(75.7mg)を摂取してもらう実験では、
女性ホルモンの一種であるエストラジオールが30%ほど低下し月経周期が11.7%長くなったという報告もあります。

妊婦や乳幼児、小児(15歳以下)には通常の食事に追加して、イソフラボンを摂ることは避けたほうがよいでしょう。